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ポリシーの見える診断・治療-2-

◎「診断」とは治療の目標を決めること
 
 
 患者さんは、治療の目標地点をきちんと示してくれる医師を選ぶことです。矯正治療をするとき、治療計画 ( 予測) をきちんと立てることはとても大切です。例えば、旅行に行くときはまず何をしますか? ディズニーランドに行く、京都に紅葉を見に行くなど、「目的」や「場所」を決めるのではないのでしょうか? これを決めなければ何も始まりませんね! 何も決めずに家を出てしまったら、どこに行きつくかわかりません。目的地を決めない、気ままな旅なら別ですが。
 
 
 矯正治療ではどうでしょうか? 歯型やレントゲン写真で今の状態を見て、矯正装置をつけても、当然歯は動きます。しかしそれでは、何のために、どこへどう動かしているのかがわかりません。目的地を決めずに出発した旅と同じです。
 
 
 目的地を決めたら、そこに着くための「手段」が必要です。電車で行くのか、車で行くのか、飛行機を使うのか……。東京から大阪へ新幹線で行くとします。「なるべく早く着いて遊びたい!」なら新幹線の場合、各駅停車の「こだま」に乗ると4時間かかりますが、「のぞみ」なら2時間半で行けます。よく考えずに東京駅で「こだま」に飛び乗ってしまうと1・5倍以上時間がかかってしまいます。事前に時刻表で調べておけば、そんな失敗も防げるはずです。では、ただ早ければよいのか? これもまた違いますよね。矯正治療の場合、前から数えて4番目の第一小臼歯を抜いて並べると、早く終わることがあります。見かけ上のスキマを作ってしまえば、単純にその他が並ぶということなので、本来の歯のあるべき姿とは違ってしまいます。
 
 
 矯正治療も旅の計画と同じです。まず目標を定め、それにできるだけ近づくための手段として、装置を決めていきます。目標が決まらなければ手段は決められません。反面、目標が決まれば手段を選ぶことは簡単です。
 
 
 多くの矯正歯科医は、手段に重きをおいていますね。どんな矯正器具があって、どんな治療法を選択するかということ。裏側から矯正すれば人から見えないようにできますよとか、この装置を使えば短期間で治療が終わりますよ、というように。明確な目標あっての手段でなければ治療にブレが出ます。患者さんが「人に見えないようにやりたい」といえば、歯科医は「それならこの装置がありますよ」といって使ってしまうでしょう。表側からやると歯を抜かなくてもできるけど、裏側からやると歯を抜かなければいけないといわれたといって来られる患者さんまでいらっしゃいました。裏側からでは歯は動かしにくいので、歯を抜かないと並べられないケースはたしかにあります。だからとって、「裏なら抜きますよ。表なら抜かなくて済みます。どっちにしますか?」というのは明らかにおかしいと思います。「歯を抜くのはもったいない。あなたが目指すゴールに着くためには、表側からやりましょう」というのがほんとうの姿だと思うんです。もちろん、裏側からの矯正でも、同じ結果を得られれば問題ありません。使う装置は、患者さんにとって体の健康を考えたベストの状態にたどりつくための最良の手段でなければなりません。
 
 

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